漆芸

シルバーアクセサリーの制作と並行して、伝統的な漆芸にも取り組んでおります。

 

使用する木地は《朝熊黄楊(あさまつげ)》という極めて希少な素材です。

 

この朝熊黄楊は、三重県伊勢市の朝熊山という限られた地域でのみ産出され、江戸時代から伊勢根付の材料として珍重されてきました。

 

黄楊類の中でも際立って硬質で緻密な木質を持ち、現在では採取がほとんど不可能となったため、《木の宝石》と呼ばれるほど高価で貴重な材料となっています。

 

漆芸の世界では伝統的に、木地師・下地師・塗師・蒔絵師といった各分野の専門職人が工程を分担し、木地作りから下地処理、研ぎ作業、蠟色仕上げ、そして最終的な加飾まで、多くの工程と熟練した技術者の手を経て一つの作品が完成します。

 

鋳金工房は木地作りを除く全工程を一手に担い、蒔絵や色漆による華麗な装飾作品から、木地の美しさを生かした拭きうるし、格調高い蠟色仕上げの飾り台など、多様な漆芸作品を数多く手がけてまいりました。

額 蒔絵

◆フクロウの額は2種類あります。

全体を研ぎ出し蒔絵で作ったモノと

フクロウ部分は研ぎ出し蒔絵だけど

全体でみると平蒔絵になっているモノ。

普通蒔絵には1号とか2号の細かい金粉を使うのだけど

8号と10号の大きな粉を使っています。

研ぐのに最新の注意と心の余裕が必要だけど

掃き込んでぼかしを付ける事ができます。

そして上毛打ちで輪郭をはっきりさせています。

 

額 絵漆

唐子たちは平蒔絵の鳥と花の中で踊っていて

兎は研ぎ出し蒔絵の梅鉢をバックに座ってます。

サクラの幹はアワビの厚貝を漆で閉じ込めています。

 


欅テーブル

欅の板を買った。

重くて表面も荒れているし樹皮もついている。

普通だと座卓にするところだけど

テーブルにした。

持ち運びできるように組み立て式です。

何回か、展示会で使ったけど

もう組み立てるパワーがなくなって

部屋の隅に鎮座しています。

拭き漆のちゃぶ台

使わなくなったちゃぶ台が納屋に放置されていた。

そういえば、子供の頃使ったいた記憶が・・

痛んで表面もボロボロになっていたから

分解して表面を削り拭き漆をして組みなおした。

とってもいい感じ。

絵漆ブローチ 兼 ペンダントトップ

絵漆帯留と同時進行で作ったブローチ兼ペンダントトップ

silverの枠は、絵のイメージに合わせて彫金で作ったもので、

隠しバチカンが付いているのでひもやネックレスを通してペンダントとしても使っていただけます。


絵漆帯留

silverの枠を付けた帯留

帯締めを通すパーツは手づくりで大きめに作っているので太めの帯締めも使えます。

何回も漆を塗り固め、銀梨地粉、最後に木地呂漆で仕上げているので独特の艶があり堅牢です。


金継

2024-12

知り合いの陶器屋さんから買った湯呑。買ったその日に落として割ってしまいました。

渋い色合いの湯呑なのでその雰囲気に合わせて、素朴な仕上げにしました。

野島先生の指導で拭きうるし

2025年春

拭き漆の第一人者 野島峰男先生の指導を受ける機会がありました。

それまでの拭き漆と違う技法で、こんな方法もあるんだと…

残った漆で、ノミとチョンナも拭いておきました。

 

ノミとチョンナは宮大工だった祖父が使っていたものです。

FRP 樹脂

漆が自然の樹脂であるのに対し、私は合成樹脂の技術も学んできました。

 

ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、紫外線で固まる特殊な樹脂など、それぞれ異なる性質を持つ様々な合成樹脂があります。

中でもFRP樹脂では、ガラス繊維で補強することで、軽量でありながら非常に丈夫な造形物を作ることができます。

表面の仕上げには、伝統的なカシュウ塗装を施しており、今でも使っている作品は表面が荒れてきたら塗り直しを行い、長く美しい状態を保てるよう手入れしています。

 

 

特に印象的なプロジェクトとして、ディスプレイ用の胸を制作しました。

この作業には1年以上の時間をかけて取り組んでおり、樹脂造形技術の奥深さと、細部へのこだわりを追求した代表的な制作例となっています。